ヴェネツィアの都市景観を描いた画家として知られるカナレットを紹介します。
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こんにちは。人から分かる3分美術史。
今日はカナレットについて勉強していきましょう。
ジョヴァンニ・アントーニオ・カナール、通称カナレット。1697年生まれ。ヴェネツィアの都市景観を描いた画家として知られます。
カナレットは、シルヴェストロ・ヴァリエル総督時代のヴェネツィア共和国で生まれました。父親は有力な画家であったベルナルド・カナールであり、息子のカナレットは兄とともに父親の弟子として仕事を手伝いながら育つこととなります。
当時のヴェネツィアは、イタリアにおいて有数の芸術都市としての地位を築いており、父のベルナルドは、ヴィヴァルディをはじめとした作曲家たちの作品の舞台美術に携わっていました。
そのためカナレットも舞台美術家として出発しましたが、1719年、22歳頃のローマ出張を契機として、画家として独り立ちしはじめることとなります。
カナレットの初期の作品として知られるのが、「石工の仕事場」。1725年、28歳頃の作品です。ヴェネツィアのサン・ヴィダール教会から見える眺めを描いています。このような都市景観を描いた作品は、早くはヴィットーレ・カルパッチョらにはじまり、宗教画の背景などとして描かれてきましたが、都市景観そのものが主題となった作品はカナレットらの世代が最初期と考えられています。
カナレットは、舞台美術でつちかった迫真性をもって都市の景観を描きました。その作品は旅行が難しかった時代において、大きな支持を集めていきます。
カナレットの作品を見ていきましょう。
「聖シメオン・ピッコロ聖堂と大運河」。1740年、カナレット43歳頃の作品です。
「ウェストミンスター橋のアーチ下からの景観」。1747年、カナレット50歳頃の作品です。この頃のカナレットは、ロンドンに移り住んで現地の景観を描きました。
1768年、カナレットは高熱により71歳で亡くなります。後年には名声も高まり、現在においても、ヴェネツィアの代表的な都市景観画家として知られています。
以上!