日本の仏教の宗派による違いって何?
日本の仏教には多数の宗派が存在し、それぞれ独自の教えや実践、歴史的背景を持っています。以下は、日本の主な仏教宗派とその特徴的な違いについて簡単に説明します。
- 浄土宗・浄土真宗
- 主神: 阿弥陀仏
- 主要な教え: 信仰の力によって生死を超え、浄土へと生まれ変わることを願う教え。
- 浄土真宗は親鸞聖人によって創設され、特に「南無阿弥陀仏」という称名を中心にする。
- 日蓮宗
- 主神: 法華経
- 主要な教え: 法華経を誦経し、その中の「南無妙法蓮華経」という題目を唱えることで、現世利益を得られるとされる。
- 禅宗(曹洞宗・臨済宗など)
- 主要な教え: 瞑想(坐禅)を中心に、直接的な悟りを目指す。
- 文化や芸術、茶の湯などの日常生活とも深く結びついている。
- 天台宗
- 主神: 法華経
- 主要な教え: 日本の天台宗は中国の天台教とは異なり、最終的には法華経の教えを中心とする。
- 真言宗(密教)
- 主神: 多神
- 主要な教え: マントラ、ムドラ(印)、マンダラを用いての修行。現世利益や即身仏果を目指すことが特徴。
- 律宗
- 主要な教え: 仏教の戒律を厳格に守ることを重視する。
以上のように、日本の仏教宗派はそれぞれ異なる教えや実践を持っていますが、共通して「仏法」を求める姿勢や、生死を超える悟りを目指すという基本的な思想は共有されています。
共通する「仏法」って何?
「仏法」とは、仏教の教えやその実践方法を指す用語で、サンスクリットの「ダルマ」(Dharma)に対応する言葉です。仏法は以下のような側面を持っています。
- 教え
- 仏教の基本的な教義や思想を指します。四諦、八正道、中道、縁起、無我など、仏教の核心となる教えが含まれます。
- 戒律・修行
- 仏教徒としての行動規範や修行の方法を指します。五戒や十戒などの倫理的な戒律や、坐禅、誦経、瞑想などの修行方法が含まれます。
- 宇宙の法則
- 仏法は宇宙や生命の真理、普遍的な法則をも指すことがあります。これには、因果の法則や輪廻の考え方などが含まれます。
- 真実・真理
- 仏法は、真実や真理、悟りを指すこともあります。これは、現象の背後にある絶対的な真実や、生死を超えた普遍的な真理を意味します。
仏法は、単に教義や修行方法を意味するだけでなく、より深く宇宙の法則や真実を指す広がりを持っています。このため、仏教徒は「仏法に帰依する」と言って、仏教の教えやその実践、そして宇宙の真理に心から帰依(帰命)することを表現します。
各宗派に共通する「戒律」ってあるの?
日本の仏教には、元々インドの仏教において確立された戒律が基となっていますが、日本に仏教が伝来してから、その戒律は日本の歴史や文化の中で変遷し、各宗派によって異なる実践や解釈が行われています。
インドの仏教における基本的な戒律には以下のようなものがあります。
- 五戒 (五つの基本的な戒律)
- 1. 不殺生(生き物を殺さない)
- 2. 不偸盗(盗まない)
- 3. 不邪淫(不正な性的行為をしない)
- 4. 不妄語(嘘をつかない)
- 5. 不飲酒(酒や麻薬を摂取しない)
- 八戒、十戒
- 五戒を基本に、さらに細かい戒律を加えたもの。僧侶や特定の修行者が守ることが期待される。
日本に仏教が伝来した後、これらの戒律は各宗派や時代の背景に合わせて変化してきました。特に、日本の仏教では僧侶の結婚や肉食、酒の摂取などが許容されるようになった宗派も多く、これはインドや中国の仏教とは大きく異なる特徴となっています。
例えば、浄土真宗は親鸞聖人の教えに基づき、僧侶の結婚や肉食を許容しています。一方で、禅宗や天台宗などの宗派では、より伝統的な戒律の守り方が強調されることがあります。
しかし、これらの戒律や実践の違いを超えて、日本の仏教の核心には、すべての生き物への慈悲や生死を超える悟りを求めるという基本的な思想が共有されています。
「八戒」についてもっと詳しく
日本の仏教における「八戒」は、一時的に特定の日や修行の期間中に取り組む守戒として、僧侶や信徒が守るべき八つの戒律を指します。伝統的な八戒は以下のようになります。
- 不殺生: 一切の生き物を殺さない。
- 不偸盗: 何も盗まない。
- 不邪淫: 不正な性的行為を避ける。修行期間中は、性的行為そのものを避ける。
- 不妄語: 嘘をつかない。
- 不飲酒: 酒や麻薬のような酔わせるものを摂取しない。
- 不塗香花冠: 香、化粧、装飾品、歌や舞の娯楽を避ける。
- 不坐大床: 豪華なベッドや座布団での休息を避ける。
- 不食時: 特定の時間(多くの場合、正午以降)に食事を摂らない。
この八戒は、元々インドの仏教での一時的な守戒としての側面が強く、修行者が一時的に世俗から離れて集中的に修行に取り組む際に守られるものでした。日本においても、信徒が特定の修行や行事、瞑想の際に一時的にこれらの戒律を守ることが奨励されることがあります。
ただし、日本の仏教宗派や寺院、地域によって、八戒の具体的な内容や実践方法にはバリエーションが存在することも注意点として挙げられます。
じゃあ「十戒」は?
日本の仏教における「十戒」は、主に僧侶や出家者が守るべき基本的な戒律を指します。以下が伝統的な十戒の内容です。
- 不殺生戒: 一切の生き物を殺さない。
- 不偸盗戒: 何も盗まない。
- 不邪淫戒: 不正な性的行為を避ける。出家者の場合、通常は総じて性的行為そのものを避ける。
- 不妄語戒: 嘘をつかない。
- 不飲酒戒: 酒や麻薬のような酔わせるものを摂取しない。
- 不非時食戒: 特定の時間(通常、正午以降)に食事を摂らない。
- 不触金銀戒: 金や銀、貴重品に触れない、または私有しない。
- 不歌舞戒: 歌や舞、楽器の演奏やその他の娯楽を避ける。
- 不塗香花冠戒: 香、化粧、装飾品を用いない。
- 不坐大床戒: 豪華なベッドや座布団での休息を避ける。
これらの戒律は、仏教がインドで成立した際の僧団の生活規範を基にしており、日本に伝来した際もその基本的な形は維持されています。しかし、日本の仏教宗派や時代によって、これらの戒律の解釈や実践の仕方は異なってきました。
例えば、浄土真宗などの一部の宗派では、僧侶の結婚や肉食が許容されており、伝統的な戒律とは異なる実践が行われています。しかし、多くの宗派では、十戒は僧侶や出家者の生活の基盤として大切に守られてきました。
このような戒律は、単に規則や制約としての側面だけでなく、修行者が心を浄化し、悟りに近づくための指針としての側面も持っています。
戒律をやぶるとどうなるの??
日本の仏教における戒律の取り扱いや、それを破った際の結果は宗派や時代、文化背景によって異なりますが、以下のような側面が考えられます。
- 宗派内の制裁:
- 一部の宗派では、戒律や教団の規定を破った僧侶に対して、一定の制裁が行われることがあります。これには、一時的な活動の停止命令や、僧侶としての地位の剥奪などが含まれることがあります。
- カルマ的影響:
- 仏教の教えには「因果応報」という考え方があり、良い行いや悪い行いが将来の結果として返ってくるとされます。戒律を破ることで、その人のカルマ(業績)が悪くなり、次の生に悪い影響が及ぶ可能性があるとされます。
- 信者との関係:
- 戒律を破ることで、信者や一般の人々からの信頼を失う可能性があります。これは、僧侶の地位や寺院の運営に大きな影響を及ぼすことがあります。
- 内省と改心:
- 戒律を破った僧侶自身が、その行為を深く反省し、改心する機会として捉えることもあります。このような場合、戒律の破り方によっては、再び僧侶としての活動を継続することができることもあります。
日本の仏教においては、特に近代以降、戒律の厳格な守り方やそれを破った際の取り扱いは宗派や寺院によって多様であり、一概には言えません。しかし、どの宗派においても、戒律は僧侶の心の指針としての役割を果たしており、それを破ることの深刻さは共通して認識されています。
宗派内の制裁ってめっちゃ怖いな…。ボコボコにされたりするのかな…。