アート

エドヴァルド・ムンク

幼少期のトラウマや精神障害を抱えて描き続けた孤高の画家ムンク

エドヴァルド・ムンク(1863年~1944年)ノルウェーのロイテンで医者の父の元で生まれる。圧倒的な存在感を出し、1度観たら2度と忘れられないムンクの「叫び」。

しかし、「叫び」が大変有名な一方で、それ以外の作品を知らない人も多いのではないのではないだろうか。

この記事では、そんなムンクの代表作や生涯などについて紹介しようと思う。

代表的な作品

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5才の時、ムンクの母は結核で他界。14才の時には姉も他界してしまい、この 幼少期 の肉親の死は、のちのムンクに大きな影を落としていきます。

17才の時、王立絵画学校に入学。展覧会などに出品するものの評価はひどいもので、26才の時、ノルウェー政府の奨学金によりパリに留学。 その1ヶ月後、父が他界。

パリで過ごした3年間、彼と同じような不安を持ったゴッホの絵に大きな影響を受け、その時、ムンクが書き残したメモに「室内が、読書する人物、編み物をする女、そんな絵はもういらない。呼吸し、感じ、苦悩し、愛する、生身の人間をえがかなければならない」と書き綴っていた。

3年後、故郷ノルウェーに帰り個展を開くが失敗。ムンクの才能は認められないまま月日が経ち、その後、ベルリンに移り住み始めた頃から、ムンクの代表作を描き上げていきました。

作品「叫び」は、赤く染まった空と不気味な背景、そして耳をふさいでいる歪んだ人物が描かれています。 背景に描かれているのは、オスロフィヨルドというノルウェーの湾のひとつです。

この絵は、ムンクの幻覚に基づいて描かれて、ムンクの日記には「私は2人の友人と歩道を歩いていた。太陽は沈みかけていた。突然、空が血の赤色に変わった。私は立ち止まり、ひどい疲れを感じて柵によりかかった。 それは、炎の舌と血がフィヨルドや街に覆いかぶさるようであった。友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま、不安に震え、戦っていた。そして、私は自然を貫く無限の叫び声を聞いた」と記されています。

また、作品「マドンナ」では、半裸の女性がムンク特有の色彩で描かれています。モデルは不明。さらに「思春期」という作品では、ベッドの端に腰かけた裸の少女が描かれています。

目は大きく見開かれ、口は閉じられています。左窓から光が差し込んでいますが、少女の後ろには不気味な影が湧き上がっています。この作品では、不安、恐怖、性への目覚め、心身の成熟が描かれていると言われています。しかし、この少女もモデルも不明なため、ムンク自身を描いたものだと言う説もあります。

ムンクは愛人を多く作りましたが生涯独身で過ごしました。

34才、ノルウェーのオースゴールストランを拠点としヨーロッパを行き来しながら、 連作の制作に着手。

連作の名前は「生命のフリーズ」。ムンクのこころの中にあるさまざまな感情を絵にしたものです。生・死・愛・絶望・不安・嫉妬・恥・・・など、人間の人間らしい一面を多く描きました。この頃から、収入が安定するようになり、小さな漁師小屋を購入しハッピーハウス、サマーハウスと 名付けて毎年ここで夏を過ごしました。ここでは、疲れを癒したり、ムンクの心の居場所になりました。

36才、トゥララーセンという女性と出会い交際を始めます。「生命のダンス」という作品で赤いドレスを着ている女性だと言われています。彼女はムンクとの結婚を切望していましたが、ムンクは断り続けました。

後に、研究者達は、ムンクの幼少期の家族の不幸などのトラウマ、また精神面での不安定さ、 虚弱体質などが結婚に対する自信を失わせていたのでは…と分析しています。トゥララーセンと激しくもめ、彼女の自殺未遂でムンクも手に負傷して2人は破局。

40才の頃、バイオリストの女性と知り合い、彼女を愛するようになります。彼女は「ブローチを付けた女性」という作品のモデルにもなっています。

45才、ムンクは酒の飲みすぎと日々のストレスで8ヶ月間精神病院に入院することに。退院後の作風は明るくカラフルな作品に変わっていきました。描くテーマも「遊ぶ人々」「星月夜」「太陽」といった明るいものに変わっていきました。

ムンクは、亡くなるまでの20年間、エーケリーという街に土地を購入し1人で暮らし、飼っていた馬をモデルにした絵が多く穏やかな絵が描かれいます。

しかし、当時ナチスがノルウェーに侵攻しはじめていて、ムンク自身も攻撃を受けることがありました。ムンクは作品が没収されたり破壊されることを恐れて自宅に引きこもるようにして生活していましたが、自宅の窓ガラスが割られるなど、攻撃を免れることはできませんでした。

1944年、気管支炎により80才で他界。

恵まれない幼少期を過ごし、思い通りにならない人生を送ったムンクでしたが、自己表現をやめませんでした。
そんな彼の感情に触れた時、多くの人々が共感し、 深い思いをはせるのではないでしょうか。

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