フランスの画家であり、エキゾチックで素朴な画風で知られるアンリ・ルソーを紹介します。
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こんにちは。人から分かる3分美術史。
今日はアンリ・ルソーについて勉強していきましょう。
アンリ・ルソー。1844年生まれ。フランスの画家であり、エキゾチックで素朴な画風で知られます。
ルソーは、フランス西部の町ラヴェルにブリキ職人の息子として生まれました。
ルソーは若い頃よりデッサンや歌などで才能を発揮しましたが、本格的に画家として出発するのは42歳となってからのことでした。
若い頃は軍隊や税務署で働き、25歳の頃に結婚した妻・クレマンスは7人の子供を産みました。しかしクレマンスが結核を患っていたことから、子供のほとんどが幼くして亡くなり、クレマンス自身もルソーが44歳の頃に亡くなります。
1886年、ルソーは42歳の頃に、ジョルジュ・スーラらが設立したアンデパンダン展に「カーニバルの晩」を出品。画家としてデビューしました。画面のほとんどを占める風景とエキゾチックな雰囲気は、ルソーの特徴であり、当初から一貫した作風が現れています。
技術的にも稚拙なルソーの絵は長らく画壇では評価を受けませんでした。そのためルソーは無審査のアンデパンダン展を中心に活動していくこととなります。また、生活は苦しく、税務署の年金や看板絵描きの仕事で生計を立て、借金を重ねていきました。
ルソーは素朴な人柄で知られ、芸術家仲間からは愛されました。49歳ごろに現代演劇の祖として知られる劇作家アルフレッド・ジャリと知り合い、意気投合。ジャリを介して62歳の頃に詩人のギヨーム・アポリネール、オルフィスムの代表的画家であるロベール・ドローネーと知り合い、親友となります。そして彼らの評価もあり、ルソーは晩年になって評価を高めていきます。
ルソーの作品を見てきましょう。
「田舎の結婚式」。ルソー61歳頃の作品です。ルソーの肖像画はほとんどが正面からの構図であり、足元の黒い犬が不気味さとユーモラスさを際立たせています。
「夢」。65歳でルソーが亡くなる手前に発表した作品であり、ソファで眠る女の夢を描いています。
ルソーは1910年に65歳で亡くなります。中年になってからデビューしたルソーの経歴は同時代のなかでも独特であり、なかば謎めいた画家として、また、画風・人柄ともに素朴な画家としても現代で知られています。
以上!