大器晩成型の元祖シュールレアリスム画家
ピエール・ロワ(Pierre Roy 1880年8月10日 – 1950年9月26日)はフランスのシュールレアリスム(超現実的主義)の画家です。
父親は美術館で働いていて、その影響も受けてか、元々は建築を学んでいましたが、パリに移り住んでからアカデミー・ジュリアンというパリの私立美術学校で絵画を学び始めました。
その後、パリで行われたアンデパンダン展という自由出品の展覧会に出展したのをきっかけにシュールレアリスムに多大な影響を与えた、ジョルジョ・デ・キリコと知り合い、シュールレアリスムの道に進んで行きます。
また彼の絵画にはデペイズマンとトロンプ・ルイユという2つの技法が良く使われています。
代表的な作品
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シュルレアリスムの元祖はキリコですが、もう一人あげるならロワがあげられます。
もちろん他にもダリ、マグリットなどのシュルレアリスムで活躍した画家はいますが、ほとんどがロワの影響を受けています。
また、ロワはよくデペイズマンという手法を使っており、これは「人に居心地の悪さや違和感などを感じさせるために、通常では組み合わせないような奇妙な組み合わせをあえて行う手法」のことです。
例えば、湖の中心に首から上の銅像が浮いていたり、手の上に足が生えていたり、見たときに「えっ?なんだこれ、なんかおかしい」そう思わせるということです。
ちなみにデペイズマンに関しては、キリコの方が不可解さ奇妙さをおぼえるかもしれません。
他にも、ロワはトロンプ・ルイユという手法も使っていて、これは今でいうところのトリックアートにあたります。
そこには無いのに、まるでそこにあるかのように思わずにはいられないような騙し絵ですね。
このトロンプ・ルイユは後々スーパーリアリズムやハイパーリアリズムという写真のように見えて「本当にそのモノがそこにないなんておかしい」と思わずにはいられない手法に繋がっていきます。
ロワは数々の有名な画家と知り合い、一緒に展覧会に出展したりと活動を続けていましたが、絵画だけでは十分稼げなかったので、舞台のデザインを考えたり、有名雑誌VOGUEの表紙を描いたりしていました。
ロワの転機は46歳以降と遅咲きです。この年から始めて個展を開き始めた彼は、50歳のときにニューヨークで開催した個展が大成功を収め、MoMAに絵画を買われました。
MoMA(モマ)というのはニューヨーク近代美術館のことで、現代美術の中では殿堂とされていました。
そこに認められたロワは、その後、経歴を活かしフランス海軍公式画家になります。
55歳のときにはフランス国内でも知名度が上がり、国際的に活躍し始めました。
ただ、70歳のときに展覧会に行く途中で亡くなってしまいました。