令和3年以降、増加する登山事故件数
とりあえず執筆時現在の状況説明からいきます。
警察庁発表の山岳における事故統計の情報によると、以下の通り。
令和5年夏期(7~8月の2か月間をいう。以下同じ。)における山岳遭難は
○ 発生件数 738件 (前年対比 +70件)
○ 遭難者 809人 (前年対比 +23人)
うち死者・行方不明者
61人 (前年対比 +16人)~中略~
発生件数及び遭難者数ともに、令和2年は前年比で減少したが、令和3年以降は増加傾向にある。
「令和5年夏期における山岳遭難の概況」警察庁生活安全局生活安全企画課
近年のキャンプ・登山ブームのあおりをうけてか、はたまたコロナによる外出自粛要請がおさまってきたからなのか、いずれにせよ「登山者数が増えれば事故数も増える」というのは、確率的にも、まあそうだろうと納得がいく。
「ゆるキャン」に始まったカジュアルなキャンプや、それに付随する、釣りや登山といったアウトドアアクティビティーの人気向上。
それ自体が批判されるべきではないと思うのだけれど、そういった「知識も技術も装備もない」人たちが事故にあわないように、一人でも多くのひとが安全に楽しめるようにするにはどうしたらよいか。
以下、考えてみようと思います。
トピックに至った動機説明も述べたところで、じゃあさっそく本題です。「遭難してしまった!」となった時にどうすればよのでしょうか…?
遭難したときに助かる確率を上げるには…?
山で遭難した際に生存率を最大限高めるためには、次のような対策が考えられます:
- 事前準備:
- 山行前には必ず天候や山の状況を確認し、準備を整えておきましょう。
- 必要な装備(服装、食料、水、ナビゲーションツール、救急セットなど)を持参しましょう。
- 緊急時の装備:
- ホイッスル、信号ミラー、携帯電話や衛星通信デバイスを携帯しておきましょう。
- 水を浄化するための装置や、非常食も携帯しておくと良いでしょう。
- ルート計画:
- 計画的なルートを立て、それを家族や友人に伝えておきましょう。
- 予定された時間に戻っていない場合、救助が早期に開始される可能性が高まります。
- 緊急時の知識と技術:
- 応急手当の基本、避難所の作り方、火の起こし方などのサバイバルスキルを学んでおきましょう。
- 自己位置の把握:
- 地図とコンパスの読み方を学び、GPSデバイスを使えるようにしておきましょう。
- 落ち着く:
- パニックにならずに冷静さを保ち、状況を把握しましょう。
- シェルターを求める:
- 悪天候の際は、風や雨を避けられる場所を探して、体温の低下を防ぎましょう。
- エネルギーの管理:
- 無駄な動きを避け、体力を温存しましょう。適宜休息を取りながら行動計画を立てましょう。
- 救助信号の発信:
- 救助隊が見つけやすいように、目立つ色のものを表示したり、音声や光で信号を送ったりしましょう。
- 緊急時連絡網の利用:
- 携帯電話が通じる場所を探し、緊急サービスや家族に連絡を取りましょう。
- 水分と食料:
- 安全な水源を見つけ、水分を確保しましょう。
- 食料は体力を維持するために大切ですが、無理に食べる必要はありません。食料はエネルギー源になりますが、水分がないと消化に問題が生じることもあります。
これらの準備とスキルがあれば、遭難した際に助かる可能性を大きく高めることができます。また、定期的に自分の位置を知らせるなど、自己の安全を確保するために常に意識的な行動を取ることが重要です。
事前準備を整えろって、そりゃごもっともなんだけどさ…。そういう装備がなかった場合の対処について知りたいんだよね。
必要な装備がなかった場合には、どのような行動をとるべき?
必要な装備がない状況で山で遭難した場合、以下の行動を取ることが推奨されます。
- 落ち着いて行動する:
- 慌てずに深呼吸をし、状況を冷静に分析しましょう。
- 避難所の確保:
- 天候が悪化する前に、風や雨をしのげる場所を見つけましょう。
- 洞窟や岩の下、大きな木の下など自然の避難所を利用し、可能であれば周りの素材を使ってシェルターを強化しましょう。
- 体温の維持:
- 濡れている服は体温を奪うので、体をドライに保つことが重要です。
- 身の回りにあるもの(葉っぱ、枝、苔など)で断熱材を作り、体温を保つために利用しましょう。
- 水分の確保:
- 安全な水源(流れている水など)を探して水分を補給しましょう。
- 水がない場合は、雨水を集めるか、霧や露を集める方法もあります。
- 食料の確保:
- 山野草や野生動物についての知識があれば、食べられるものを探しましょう。
- 知識がない場合は、食べることによるリスクを避けるため、食べることを控えた方が安全かもしれません。
- 救助信号の準備:
- 救助隊が目視できるように、大きな文字や記号を地面に作るなど、視覚的な信号を準備しましょう。
- 煙を出すために火をつける場合は、非常に慎重に行ってください。
- 移動しない:
- 救助隊が最初に捜索するのは失踪したとされる最後の確認ポイントですので、余計な移動は控えるのが一般的です。
- 移動する必要がある場合は、自分の通った道を目印で示しながら行動しましょう。
- 夜間の行動を避ける:
- 視界が悪くなり、安全を確保するのが難しくなりますので、夜間の行動は避けましょう。
- 緊急サインを知る:
- 緊急時の国際サイン(SOS: 3回短い、3回長い、3回短い信号)を使いましょう。
- 身を守る:
- 野生動物の脅威から身を守るために、火を使ったり、騒音を発生させたりしましょう。
装備がない場合でも、自然には生存のための資源があります。上述した行動を心がけることで、救助されるまでの生存率を高めることができるでしょう。
「移動しない」って選択肢はなかなかとりづらいと思うんだよなあ…。移動するとしたら、もしくは移動しなければならないとしたら、どうしたらいいんだろう?
移動するしかない場合、どのような経路で移動すべきですか?
移動するしかない状況であれば、次の点を考慮して経路を選ぶことが重要です。
- 安全な地形を選ぶ:
- 地形図があれば、それを利用して落石や急斜面、沢などの危険な地形を避ける経路を選びます。
- 地図がない場合は、開けた地形を選び、遠くからでも見える特徴のある地点を目指します。
- 水源を下る:
- 渓流や川に沿って下る経路を選ぶと、人里や道路に出やすいです。水は下流に向かって流れ、人間の活動も水の近くに集まりやすいためです。
- 高所を保つ:
- 山岳地帯では、時には高所を保つことが視界を確保し、方向感覚を保つのに役立ちますが、安全に下山できるルートを見極める必要があります。
- 踏み跡や明らかな道を利用する:
- 既存の踏み跡や小道があれば、それを辿るのが良いでしょう。これらは通常、人の居住地や主要な道に繋がっています。
- 方向を定める:
- 羅針盤があれば、一定の方向を保ちながら移動しましょう。太陽や星を利用して方向を見つける方法も学んでおくと役立ちます。
- 目印を残す:
- 移動しながら、戻ってきたり他の人に自分の経路を知らせたりするために、目印を残します。これは石を積んだり、木に布を結びつけたりして行います。
- エネルギーの管理:
- 慎重に体力を管理し、無理なく移動するよう心がけます。疲れたら適宜休息を取り、脱水症状に注意して水分補給をします。
- 時間帯を考える:
- 日中の明るい時間に移動を行い、夜間は安全な場所で休むようにしましょう。
- 天候の変化に注意:
- 天候が急変する山岳地帯では、雨や霧、雪などによる視界の不良や体温の低下に注意し、必要に応じて移動を中止して避難することも重要です。
- 救助を待つ準備をする:
- 移動しなければならない状況であっても、救助隊があなたを探しやすいように、常に救助されるための準備を心がけます。
移動する場合は、絶えず周囲の状況を観察し、安全第一で行動することが最も重要です。また、山での遭難は常にリスクが伴うため、必ず可能な限りの準備をしておくべきです。
知識も装備もない人が水源に近づくのは、危険じゃない?!って思うよ。水源に近づくリスクに加えて、「登頂」か「下山」か目指すならどっちがいいと思うか、もう少し掘り下げて聞いてみます…!
山頂or下山では、どちらの方がより救助される確率が高められそう?
山での遭難時の行動は、その時の具体的な状況によって異なります。選択するべき行動を決定する際には、以下の要因を考慮する必要があります。
- 山頂を目指す場合:
- 山頂がはっきりしており、遠くからでも識別できる場合、山頂に登ると救助隊に見つけてもらいやすくなることがあります。
- 山頂には通信施設があることもあり、救助信号を発するのに有利なこともあります。
- しかし、山頂への道のりが技術的に困難であったり、気象条件が厳しい場合には、非常に危険です。
- 下山を目指す場合:
- 下山は一般的にはより安全とされ、人里に近づける可能性が高まります。
- 水源を下るというのは、河川や渓流に沿って下ることで、これらは通常、人の居住地域や道路、救助隊が捜索活動を行う場所につながっています。
- ただし、急流や滝、険しい渓谷など、水際には危険も多く存在します。
水源に近づくリスク
水源に近づくことが危険と感じられる理由には、以下のようなものがあります。
- 洪水や増水のリスク:特に悪天候の場合、急な増水で洪水が起こることがあります。
- 地形:河川や渓流の周辺は滑りやすかったり、急斜面があったりして危険な場合があります。
総合的に考えると…
一般的には、山頂よりも下山を目指す方が安全とされており、救助される確率も高くなることが多いです。山頂に登ることは、体力と技術をより多く要求され、気候条件が厳しいほどリスクが増します。
けど、下山しようとした結果ルート選択を誤って…って可能性もやっぱり怖いよね…。やっぱり、適切な事前準備なしに登山なんてしようとするのが、そもそも愚かな選択なんだろうね…。
まとめ
- 遭難時には、まずはじめに救助を要請することが重要です(携帯電話や山岳無線などを使用)。
- 現在位置の安全を確保し、体温を維持し、水分補給を行いながら、救助を待つことが基本です。
- 移動する場合は、安全を最優先に考え、自己の体力、装備、天候、地形を総合的に判断して最善の経路を選びます。
遭難した場合にどの行動を取るかは、状況に応じて変わります。救助隊や周囲の状況にもよりますが、無理をせず、自身の安全を守ることを最優先にしてください。
最近、街中でもクマが出ているなんてニュースになってるけど、さらに野生の動物に襲われやすく、遭難のリスクもある山に、どーしてみんな登るんだろうね。やっぱりみんな、「自分だけは大丈夫っしょ!」って思っちゃうんだろうね。本当に怖いのは、遭難リスクなんじゃなくて、危険な未来が予測できるのに、「自分だけは大丈夫」思考で行動してしまう人間の心理なのかも…なんて思いました。こわ。みなさんはどう思いますか?